人生の幕引きを自分で決めることができ、より良い残りの人生を過ごすことができるため、終活が注目されています。
「終活年賀状」もその一つで、メリットとして人間関係を整理できることが挙げられ、残りの人生により濃く充実した人間関係を残すことができます。
ですが、終活年賀状も書き方を工夫しなければ、あらぬ誤解を招くことに繋がるということが分かりました。
相手に誤解を与えないためにはどのような書き方をすればいいのか、実際に書くとどのような内容になるのか、文例を示しながらご紹介していきます。
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終活年賀状とは
今年をもって年賀状のやり取りをやめたい、という気持ちを書き記して送る年賀状のことを「終活年賀状」と言います。
終活と聞くと人生の最期を迎えるための準備という意味に捉えがちですが、ほかには「年賀状じまい」という言い方もあり、高齢者だけが行うものではありません。
年賀状の歴史を辿ると、平安時代にまで遡ります。
そうして明治6年(1873年)に官製はがきが登場したことにより、現在のように年賀状としてはがきで送るようになりました。
こうして見ると年賀状とはとても歴史のある文化なんですね。
では、どうして終活年賀状が取り上げられるようになったのでしょうか。
主な理由は
● 年賀はがきの価格高騰
● SNSで簡単に連絡が取れるようになった
● 年齢の問題
などが挙げられます。
はがきを送るには一枚63円かかります。
年賀状ともなるとまとめてたくさん出さなくてはならない人もいるでしょうから、結構な額になってしまうこともあります。
また、近年では携帯で気軽にメッセージを送ることができるので、わざわざ年賀状として送る必要性を感じないという人もいますよね。
歴史のあるものがなくなっていくのは寂しい気持ちになりますが、終活年賀状にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
終活年賀状のメリットは? デメリットもある?
今まで続けてきた年賀状のやり取りをやめる、というのは人間関係を断ち切ってしまうような気がして後ろめたさを感じることもあります。
新年の挨拶をする年賀状で「これからの年賀状のやり取りをご遠慮したい」なんて旨の言葉が書いてあったら、受け取った側はどう思うでしょうか。
全く気にしない人もいれば、マナーが悪い人だと感じる人もいるでしょうし、何か気に障るようなことをしてしまったかと不安になる人もいます。
感じ方は人それぞれですが、今まで続けていた年賀状をやめる報告は相手への最低限のマナーだと思います。
大切なのは自分の考えだけを押し付けて終わりにしないこと。
受け取った相手が一方的に関係を断ち切られたと思わないように、相手が納得する理由付けが必要になります。
その書き方は次の見出しで詳しくお話しますが、ここでは相手の反感を買うかもしれない「終活年賀状」のメリット・デメリットをご紹介します。
メリットは、ずばり人間関係を整理できることですね。
自分の死後、家族が人間関係を辿るときに人間関係の整理をしておくことで不要な繋がりを辿る必要がなくなります。
年賀状だけの付き合いを解消し、本当に繋がっていたい相手とだけ関係を続けておくことで、意味のある交流ができるということです。
人間関係を整理しておけば、自分の現況を伝えたい人にだけ伝えることができます。
次のメリットは年賀状作成のコスト削減です。
年々はがき代も上がっていき、今では63円。
それに印刷代やそのための労力を考えるとコストは思っているよりも嵩むもの。
今では携帯も普及しており、メッセージアプリなどですぐにやり取りができるようになりました。
1月1日の午前0時にメッセージを送ることだってできるんです。
携帯から送れば、はがき代や印刷代はかかりません。
デメリットは前述したように、相手の反感を買う可能性があることですね。
相手がお世話になった人などの場合「なんて失礼なんだ!」と思われかねません。
また「私とはお付き合いを続けたくないのね……」という気持ちをさせてしまうこともあります。
年賀状だけの付き合いだとスッと関係性が希薄になるだけで済むかもしれませんが、せっかく終活しているのに相手との溝が残ってしまうかも。
さて、では相手と溝を作らないためにはどのような書き方をすればいいのでしょうか?
終活年賀状はどうやって書く? 文例は?
終活年賀状を書くに当たって、意識しなくてはならない全体の流れがあります。
1. 年始の挨拶
2. 年賀状をやめる理由
3. 年賀状をやめたあとの交流手段の相談
この流れに沿って書くと相手に対して失礼のない終活年賀状が出来上がるでしょう。
今では終活年賀状が市販されていたり、インターネットにテンプレートが載っていたりしますが、ここで文例を紹介します。
文例①
あけましておめでとうございます。
季節を巡るたび手足の衰えを感じ始め、筆を取るのも辛くなって参りましたので、本年をもちまして年賀状でのご挨拶はご遠慮させていただきます。
誠に勝手ではございますが、今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げると共に皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
文例②
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
昨年は大変お世話になりました。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
私都合で大変恐縮ですが、時代の移り変わりもあり、年賀状での新年のご挨拶は今年限りで失礼させていただきます。
今後の新年のご挨拶や近況のご報告はメールかメッセージアプリからご連絡させていただきますので、今後とも変わらぬお付き合いをよろしくお願い申し上げます。
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
メール:・・・・@・・・・
メッセージアプリ:・・・
文例①は高齢を理由に、文例②はSNSの普及を理由に年賀状をやめるためのものです。
②に関しては、最後に連絡先を書くことで年賀状のやり取りをやめたあとでも、相手と連絡を取り合うことができます。
「あなただけに年賀状を送らなくなるわけではない」ということが伝わるような書き方をするのがマストです。
高齢・SNSの普及による理由共に、受け取った側は納得できる理由ではないでしょうか。
また、年賀状をやめたいと思っている人も多いようで意外と「私もそうしようと思っていた」なんて返事が返ってくるかもしれませんよ。
年賀状はどうしても手間がかかるものです。
手書きならなおさらでしょう。
私もよく年賀状を手書きで書いていましたが、幼いながら「大変だな」と感じていました。
でも、決して年賀状を送ることが億劫なわけではないんですよね。
年賀状を書くという行為が業務的なものになってしまって、一度そうなってしまうとどうしても煩わしさや手間を感じるようになってしまいます。
せっかく歴史ある文化なのですから、上手く今後も続いていくといいですね。
まとめ
マナーさえ気を付けることができれば、相手と円滑に年賀状のやり取りをやめることができます。
それぞれが気疲れのしない人間関係を築けることが一番だと思うので「終活年賀状」はあくまで一つの手段です。
ですが、こうしてメディアで取り上げられることが増えているということは、その手段を選択する人が多いということです。
年賀状の発行枚数が年々減少していることを考えても、年賀状の在り方は新たな方向へ向かっていくのかもしれません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。